Internet Fundamentals
インターネットを支える基本のコトバ
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低遅延・高速化を実現するIX(インターネットエクスチェンジ)とは?
役割やメリットまで詳しく解説
IX(インターネットエクスチェンジ)は、インターネットの交差点とも言える重要なインフラです。ネットワーク同士を効率的に接続するIXは、データの転送経路を最適化し、通信の遅延を低減する役割を果たしています。これにより、エンドユーザーは快適でストレスフリーなオンライン体験ができ、さらに、通信事業者にとっては、後述のトランジット費用を回避することで、運用コスト削減が期待できます。
この記事では、IXがどのように機能し、私たちのデジタル生活をサポートしているのかを初心者でも簡単に理解できるように解説していきたいと思います。
初めに、IXの基本的な仕組みに触れ、その後、IX利用時の主なメリットである、低遅延・高品質な通信と、コストと運用の効率化について掘り下げていきます。
IX(インターネットエクスチェンジ)とは
インターネットは、無数のネットワークが相互に接続することによって形成されるネットワークの集合体です。ネットワークが相互に接続するためには、ネットワークを持つ事業者やISP(インターネットサービスプロバイダ)*1、コンテンツプロバイダなどの組織が、機器や回線を用意して互いに接続していく必要があります。
その際、より効率的に一度に多くの相手と接続することを可能にするのが、相互接続のハブとしての機能を持つ「IX」です。IXに接続することにより、多くのネットワーク事業者と直接的にデータのやり取りをすることが可能となり、通信速度や安定性が向上します。
また、IXにおける相互接続は、接続料金を無償とする「ピアリング」が基本となっているため、通信コスト(トランジット料金)の削減が期待できるのです。
*1 ISP(Internet Service Provider)インターネット接続業者。
低遅延・高品質な通信が可能
IXを利用することで、トランジットによる接続などと比較して、低遅延・高品質な通信が可能になります。これは、IXに接続する組織間で直接トラフィック(データの流量のこと)を交換するため、通信の経路が短くなり、遅延が削減されるからです。遅延の少ない通信は、特にオンラインゲームやストリーミングサービスなど、リアルタイム性が求められるサービスにとって重要です。また、高品質な通信が実現できることで、企業はより多くの顧客に対して、安定したサービス提供ができます。IXの利用は、顧客満足度の向上にもつながるのです。
また、余計な経路を通過しないことによって、セキュリティの向上も期待されます。
コスト削減と効率的な運用を実現
IXは、異なるネットワーク同士を相互接続し、トラフィックの交換を効率的に行うことを可能にします。IXにおける接続は、主に「ピアリング」という形態を取っています。ピアリングとは、インターネット上でAS*2同士が直接接続し、トラフィックを相互に交換することです。ピアリングは通常無償であるため、ASを運用する組織は回線費用やトランジット費用を抑えることができるのです。
また、IXを利用したトラフィック交換は、効率的な運用ができることも大きな利点です。IXがハブとなるため、効率的にピアリングが行えます。IXを使わずにピアリングを行う場合、個別の交渉やお互いをセキュアに接続するための専用線敷設の手間、コストなどが発生しますが、IXを利用すれば、これらの手間やコストがかかりません。
*2 AS(Autonomous System)自律システム。同一の組織によって管理されるネットワークであり、インターネットは数多くのASが相互に接続することによって成り立っています。
まとめ
IXは、インターネットの発展と共に進化してきた重要なインフラで、トラフィックの効率的な交換を実現することで企業のビジネス成長をサポートしてきました。
JPNAPは、高品質で安定した、日本を代表するIXの一つです。今後も新技術を積極的に取り入れながら、さらなるサービス品質・安定性の向上を進めていきます。