jpnap

Internet Fundamentals

インターネットを支える基本のコトバ

05 ISP(インターネットサービスプロバイダ)とは?
種類やIXとの関係について詳しく解説

インターネットを利用する、言い換えれば、パソコンやスマートフォンからインターネットに接続するためには、ISP(インターネットサービスプロバイダ)が必要不可欠です。ISPなら知っている、という方も多いと思われますが、ISPにも“種類”があるということはご存じでしょうか。
この記事では、ISPの概要から種類、IXとの関係まで初心者でも簡単に理解できるように解説していきます。

ISP(インターネットサービスプロバイダ)とは

ISPとは、個人や企業がインターネットに接続できるようにするサービスを提供する事業者のことを言います。光回線のような通信回線が物理的に存在するだけではインターネットには接続できず、通信回線に加えて、ISPによる接続サービスが必要なのです(同じ事業者が、回線とISPの両方をまとめて提供している場合も多くあります)。
インターネットを利用する際には、ISPと契約し、契約したISPのネットワークを経由してインターネット上の他のネットワークに接続します。ISPは、インターネットへの接続性の提供以外にも、さまざまな付加サービスの提供や、セキュリティ対策などネットワークの維持管理に関する営みを行っています。

インターネットは、世界中のネットワークが相互に接続されたネットワークの集合体です。ISPが持つネットワークの中だけでは通信が完結しないため、ISPは利用者のデータを適切な経路で他のネットワークやサイトに送信し、受信するという役割を担っています。
そして実は、ISPには「Tier1」「Tier2」「Tier3」と呼ばれる“種類”があります。以下に、どのように区別されているのかを説明していきます。

Tier1

Tier1 ISPとは、グローバル規模のインターネットバックボーンを運営する、世界でも限られた最上位のISPのことを指します。Tier1 ISPは、全世界の主要なIXに直接接続され、他のすべてのTier1 ISPとピアリングしているため、世界中のIPアドレスに対するアクセス性を持っています。いわば、Tier1 ISPはインターネットの基幹となる役割を担っているのです。

Tier1 ISPは、以下に述べる下位のISPや企業にトランジットサービスを提供しています。

Tier2, Tier3

Tier2 ISPは、グローバルなインターネットバックボーンを持たないISPです。Tier2 ISPは、Tier1 ISPからトランジットを購入したり、他のネットワークとピアリングすることで、世界のネットワークに対する接続性を提供しています。

Tier3 ISPは、Tier2よりも規模の小さいISPです。Tier2からトランジットを購入したり、他のネットワークとピアリングすることで、インターネットへの接続サービスを提供します。

このように、Tier1/Tier2/Tier3とは、ISPを階層的に捉えた分類のことを指しています。なお階層の定義や数、階層間の関係は絶対的なものではなく、国や地域、時期によっても違いがあります。近年では、ハイパースケーラー、ビッグテックと呼ばれるような超巨大IT企業(世界トップレベルのISPに匹敵するようなネットワークを持っています)が、これらの階層の概念にとらわれずに様々なISPとピアリングを行ったりもしています。

IX(インターネットエクスチェンジ)とは

IXとは、インターネットを構成するネットワーク同士が、相互に効率的なトラフィック交換を行うためのプラットフォームです。IXは、コンテンツを利用する側のネットワークであるISPだけでなく、コンテンツを発信する側のネットワークであるコンテンツプロバイダーやネットワークサービスプロバイダーにも利用されています。このようなさまざまな事業者のネットワークがIXを介して相互に接続することにより、インターネットを流れるトラフィックの効率化やパフォーマンス向上が実現されています。

ISPがIXを利用するメリット

ISPがIXを利用することのメリットは大きく2つあります。それは、パフォーマンスの向上とコスト削減です。
ISPがIXで相互接続することで、トランジットによる接続と比べて通信経路が短縮され、トラフィック転送がより効率的になります。その結果、ウェブサイトへのアクセス速度向上や、オンラインサービスのレスポンス向上が期待でき、エンドユーザーへの快適なインターネット体験の提供が可能になります。
さらに、ネットワーク運営の観点からは、ISP同士がピアリングによって相互接続を行うことでトランジットコストが節約でき、通信コストの大幅な削減が実現可能です。

まとめ

インターネットは、多数のネットワークが相互に接続することで成り立っています。その中心にはIXやISPが存在し、その流れをスムーズにしています。これらの技術的な仕組みを適切に活用することで、データの流れが最適化され、利用者はより高速かつ安定したインターネット環境を享受できるのです。