Internet Fundamentals
インターネットを支える基本のコトバ
01
AS(自律システム)とは?
ASからみたインターネットの構造を解説
私たちが日常的に利用しているインターネットは、どのように構築されているのでしょうか?
インターネットは、「ネットワークのネットワーク」とも言える形で、すなわち世界中に点在するコンピュータネットワークを相互に接続して成り立っています。
この複雑なシステムの中で、各組織が管理するネットワークの単位が「AS(Autonomous System:自律システム)」です。本記事では、このインターネットの基本的な構造を形成するASについて、初心者の方でも理解しやすいように解説していきます。
AS (Autonomous System) とは
AS (Autonomous System) とは、自律システムとも呼ばれ、インターネットを構成するネットワークの単位です。
企業やISP(インターネットサービスプロバイダ)*1が、その組織のルーティングポリシーに基づき、管理するネットワークが一つのASとして機能します。また、各ASには、AS番号(AS Number)という番号が割り振られており、これにより他のASと識別可能となるのです。
*1 ISP(Internet Service Provider)インターネット接続業者
ASとルーティング
ルーティングとはコンピュータが送信したパケットと呼ばれるデータを宛先まで適切に転送する処理のことです。いわばインターネットの世界における道案内といえるでしょう。このルーティングで重要な役割を果たすのが、ルーティングプロトコル *2です。ルーティングプロトコルには、以下の2種類が存在します。
- EGP:AS間ルーティング用
- IGP:AS内ルーティング用
つまり、IGPで制御される範囲がASであると言うこともできます。
*2 ルーティングプロトコル 通信ネットワーク上でデータパケットの最適な経路を定めるためのルール、取り決めのこと。
AS番号の役割
インターネットの基盤を支えるプロトコルであるBGP(Border Gateway Protocol)は、AS番号を使用します。BGPとは、前述したEGPの一種で、異なるASに属するルーター間の通信を可能にするプロトコルです。AS番号がないと正確な通信経路を識別し、適切にデータを転送することができません。
AS間の接続とIX
AS同士が直接通信を行うためには、相互に物理的な接続が必要となりますが、各ASが一対一で接続をしていくと、数多くの接続回線が必要になってしまい、管理が煩雑となり、コストも膨らんでしまいます。
この問題を解決する一つの方法が、IX(インターネットエクスチェンジ)の活用です。IXとは、異なるAS同士が効率的にデータを交換するための物理的なプラットフォームのことを指します。
IXを利用することで、物理的な直接接続を減らしながらも、多くのASとの通信が可能となり、ネットワーク運用が格段に効率的かつ柔軟になります。
まとめ
インターネットとは「ASというネットワーク同士が繋がったネットワーク」です。また、AS間はBGPなどのプロトコルで経路情報を交換しており、AS間の効率的なトラフィック交換にはIXが活用されています。
インターネットは、ネットワークを管理する多くの組織や事業者が手を携えることによって成立していると言えます。